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  • 機械学習を活用した効率的なネオジム磁石の高特性化に成功
    ~限られた実験データから最小限の実験でネオジム磁石の最適な作製条件を予測~

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 国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS) は、電気自動車などの駆動モーター用磁石として需要が急増しているネオジム磁石について、その作製条件を変化させて得た実験データに機械学習を適用することにより、最小限の実験回数で磁石特性を最大化できることを実証しました。
 カーボンニュートラルの実現に向け、自動車のみならず様々な輸送機器の電動化が進められているなかで、モーターに使われるネオジム磁石にも用途に応じた様々な特性が要求されるようになっています。最強の磁石材料であるネオジム磁石は原料となる磁石粉末を成形して焼き固めたり、高温で加工するなど、複雑な工程によって作製されます。磁石の特性は原料合金の組成や製造工程での温度や加工条件によって大きく変化するため、ネオジム磁石の特性改善には上記条件の無数の組み合わせを最適化する必要があります。
 今回、NIMSの研究チームは、従来の焼結磁石よりも優れた高温特性が期待されている熱間加工ネオジム磁石に着目し、その作製条件と特性のデータを機械学習することにより、優れた磁気特性の発現が期待される作製条件を予測しました。また実際にその予測にしたがって作製すると、磁石としての特性を効率的に最大化できることを実証しました。通常、機械学習を行うには少ないとされる、わずか18点の初期データを用いて、アクティブラーニングによる特性予測と作製実験を繰り返すと、40回程度の追加実験で磁気特性を大きく向上させることができました。
 今後、ネオジム磁石には、磁気特性に加えて力学特性や電気的特性など、用途に応じて様々な特性が要求されると予想されます。所望の磁気特性を持つネオジム磁石を迅速に開発できるよう、今回検討した作製条件に加え、合金組成や磁気特性をはじめとした諸特性のデータの蓄積をすすめ、アクティブラーニングを活用して、必要とされる磁気特性を発現させるための作製条件を高効率に予測することができる手法開発を目指します。
 本研究はNIMSのLambard Guillaume 主任研究員、佐々木泰祐 主幹研究員、袖山慶太郎 グループリーダー、大久保忠勝 副拠点長、宝野和博 フェローからなる研究チームにより、文部科学省元素戦略磁性材料研究拠点の一環として行われました。

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