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国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 松永 是)付加価値情報創生部門 情報エンジニアリングプログラムの日高弥子臨時研究補助員および松岡大祐副主任研究員らは、鹿児島大学学術研究院の加古真一郎准教授と共同で、ディープラーニングを用いて海岸漂着ごみの被覆面積推定を行う新手法を開発しました。本成果により、人工知能(AI)技術を活用した新しい海岸環境モニタリングの実現に向けて大きな手掛かりを得ました。

海岸漂着ごみは、生態系を含めた海洋環境への影響が大きく、漁業や観光、景観維持においても大きな問題となっています。これまで、海岸における漂着ごみの実態調査が世界中で進められてきましたが、ごみの現存量を定量化するための汎用性および実用性に優れた技術の確立には至っていませんでした。

そこで本研究では、セマンティック・セグメンテーションと呼ばれるディープラーニングを用いた画像解析技術を応用し、地上からデジタルカメラ等で撮影された写真に対して画素(ピクセル)単位で海岸漂着ごみを検出する手法を開発しました。その結果、ごみの被覆面積の推定に応用可能であることや、学習に用いた海岸以外の海岸画像またはドローンを用いた空撮画像に対しても適用可能であることがわかりました。開発された技術は、デジタルカメラ等を用いて簡易的に撮影された写真はもちろん、空撮画像等さまざまな海岸モニタリングデータから海岸漂着ごみの現存量を推定するための汎用的な技術として実用化が期待されます。

本成果は、「Marine Pollution Bulletin誌」に2月1日付けオンラインで掲載されました。

タイトル:Pixel-level image classification for detecting beach litter using a deep learning approach
著者:日髙弥子1*、松岡大祐1*#、杉山大祐1、村上幸史郎1、加古真一郎2
所属:1. 海洋研究開発機構、2. 鹿児島大学 *共同第一著者 #責任著者
URL:https://doi.org/10.1016/j.marpolbul.2022.113371

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