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  • AI Japan中核会員からの発信① AIの研究開発を支える基盤づくり:人工知能研究センター(AIRC)の役割

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 産総研・人工知能研究センター(AIRC)は、AIの社会実装を目指す中核の研究機関として、独創性の高いAI技術の研究とともに、日本全体のAI研究を支える基盤(計算基盤、共有データ、汎用的なAIアルゴリズム)の構築にも、力を注いでいます。
 現在のAI技術は、膨大なデータとそれを処理する計算基盤に支えられており、画像、音声、言語の処理といった多くの分野で、これらを有する国外の巨大IT企業が優位に立っています。この状況を受け、産総研では、AI研究のための計算基盤として、4000個超のGPUを備えた計算基盤(ABCI)のサービスを2018年から開始し、大学・スタートアップ企業から大企業まで、多くのユーザに使用されています。また、これらのグループとの共同により、 深層学習のハイパーパラメータの自動調整の自動調整やワークフローの設計ツールなど、この計算基盤を利用するソフトウェア技術の集積も行ってきています。その成果は、11月のハイフォーマンス・コンピューティングの国際会議SC20の大規模機械学習の性能評価において、ABCIと富岳の日本チームが他を大きく引き離して1、2位となるなど、国際的にも注目されています。ABCIとその利用技術の蓄積は、今後の日本のAI研究に大きな貢献をするものです。
 AI研究を支える基盤として、多くの研究グループが共有できるデータの構築は極めて重要です。共有データは、データ量が大量というだけでなく、それを解釈する意味情報とのリンクの付与が必要であり、構築に多大のコストがかかります。AIRCでは、これまでのプロジェクト成果として、人の認知・身体機能に紐づけされた高齢者のビデオ・データ人の行動タグや言語キャプションがついたビデオ・データ(千葉工大との共同)日常品の3D画像各種の意味タグを付与された衛星画像などを公開し、AI分野でのオープン・イノベーションに寄与してきました。
 現在進行中のプロジェクトでは、この計算基盤と共有データという2つの基盤をさらに充実・拡充し、これらの基盤を活用する汎用的で独創的なAIアルゴリズムの研究を行っていきます(図1)。


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2020年12月1日
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
フェロー
情報・人間工学領域 人工知能研究センター 研究センター長
辻井 潤一






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