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 人工知能技術は、近年、加速度的に発展しており、世界の至る所でその応用が進むことにより、広範な産業領域や社会インフラなどに大きな影響を与えています。一方、我が国のAI研究に目を向けると、ビッグデータ、知識、計算資源の利活用の遅れ、社会実装への応用不足など、基本的な部分での立ち遅れが目立っていると言わざるを得ません。特に我が国では、基礎研究、汎用的研究、セクターごとの応用研究等が、それぞれ独立的、分散的に発展してきた歴史があり、横断的活動が少なかったことは否定できません。

 今後、我が国のAI関連の研究力を更に向上し、研究成果の社会実装を推進するためには、AI関連中核センター群である産総研、理研、NICTを核とし、国内のそれぞれの大学・研究機関が強みを発揮しつつ、相互に連携・補完するネットワークを整備するとともに、統一的な対外的情報発信を行っていくことが必要です。

 このような問題認識のもと、政府のAI戦略2019を踏まえ、日本の英知を糾合し、AI研究開発の活性化を目指すべく、人工知能(AI)の研究開発に関する統合的・統一的な情報発信や、AI研究者間の意見交換の推進などを行い、日本のAIの研究開発などの連携の機会を提供する"人工知能研究開発ネットワーク(AI Japan)"を、2019年12月に設立しました。また、その後、AIの研究開発などに積極的に取り組む大学・公的研究機関の利用会員としての参加を募集し、100以上の参加を得るとともに、統合的・統一的な情報発信を行うWebサイトを、2020年5月に公開しました。

 また、今般、世界的に猛威をふるっている新型コロナウイルス感染症に関し、人工知能(AI)は治療薬開発、感染シミュレーション、遠隔環境整備など様々な側面で貢献し得るとの認識の下、統合的・統一的な情報発信に係る第一弾の特集として、会員における関連取組リスト・事例を併せて公開を開始しました。

 今後とも、産総研、理研、NICT の3機関を中核に、国内の大学、公的研究機関の参加の下、Webサイトを通じて、各機関の研究開発成果の発表、各種イベントやニュースの情報発信などを積極的に進めてまいります。また参加メンバー間でSNSを用いた交流や議論の場も設けていきたいと思います。将来的には、産業界の参加も求めるとともに、海外研究機関との積極的な交流を進め、AI研究開発の日本型モデルを創出し、日本が世界の研究者から選ばれる魅力的なAI研究拠点となるよう取り組んでまいります。

令和2年5月

人工知能研究開発ネットワーク(AI Japan)会長 北野 宏明

略語の説明:
 ・理研:国立研究開発法人 理化学研究所
 ・NICT:国立研究開発法人 情報通信研究機構
 ・産総研:国立研究開発法人 産業技術総合研究所

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