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  • 生体分子と疾患のビッグデータから治療標的分子を高精度で予測するAIを開発
    ― 疾患横断解析による新規の治療標的の創出へ ―

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九州工業大学大学院情報工学研究院の山西芳裕教授らの研究グループは、生体分子と疾患の遺伝子発現データから、多様な疾患に対し治療標的分子(薬剤で制御することで疾患の治療に繋がる生体分子)を高精度で予測する機械学習手法を開発しました。

医薬品開発において、治療標的分子(薬剤で制御することで疾患の治療に繋がる生体分子)を同定することは重要課題です。しかし、既存の病理学的知識から推測できる治療標的分子は限定されており、治療標的分子の枯渇が世界的な課題となっています。

本研究では、既存の薬剤を新しい疾患に転用するドラッグリポジショニングの概念を治療標的分子へと拡張することで、既存の治療標的分子を新しい疾患に転用するターゲットリポジショニングの概念を提案しました。提案手法は、治療標的分子の細胞応答を反映する遺伝子発現パターンと疾患特異的な遺伝子発現パターンの融合解析により、疾患横断的に治療標的分子を予測する機械学習手法を開発しました。遺伝子配列の変異情報に依存した従来手法では、疾患治療に向けて阻害すべき治療標的分子と活性化すべき治療標的分子を分けて予測することが困難でしたが、遺伝子発現情報を用いることで両者の識別を可能にしました。また、疾患間で類似する発症メカニズムを考慮することで、従来の手法と比較して治療標的分子を高い精度で予測することが可能となりました。

提案手法は既存の治療標的分子だけでなく未開発の生体分子に対しても治療標的分子としての治療可能性を予測できるため、既存の治療標的分子の転用や新規の治療標的分子の創出による、医薬品開発の促進が期待されます。

なお、本研究成果は、2022年6月27日に国際科学雑誌「Bioinformatics」のオンライン版で公開されました。

ポイント:
    ・従来手法では膨大な生体分子の中から治療標的分子を選ぶのが困難だったが、高精度で予測できる機械学習手法を開発した。
    ・多様な疾患に対して、各生体分子が治療標的となる可能性を予測するターゲットリポジショニングの概念を提案した。
    ・既存の治療標的分子の転用や新規の治療標的分子の創出により医薬品開発の促進が期待される。
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