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  • 色名の連想しやすさの起源:人間とAIの比較
    ~自然言語処理ができるAIの心理研究プラットホームへの応用~

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 玉川大学 脳科学研究所の小松英彦 名誉教授(基礎生物学研究所 神経生理学研究室兼任)、京都工芸繊維大学 工芸科学部 情報工学課程の前野彩実、基礎生物学研究所 神経生理学研究室 渡辺英治 准教授(基礎生物学研究所 超階層生物学センターAI解析室 室長 兼任)からなる研究グループは、ヒトとAIで色名の連想のしやすさを比較しました。近年高度に自然言語処理能力のあるAIが出現し、ヒトへの質問と同じ質問をAIに投げかけることが可能となり、このような自然言語を使っての直接比較が実現しました。実験の結果、AIが色名を連想するときの色名の頻度は、ヒトが色名を連想するときの色名の頻度と非常に似ていることが判明しました。この色名の頻度は、本やインターネット上に現れる色名の頻度とは異なるもので、高度に自然言語処理能力のあるAIが獲得した色の概念が、ヒトが持つ色の概念と類似していることを意味しています。ヒトは獲得した情報を脳内で概念化しており、関連深い概念同士は強くリンクされ、関連の遠い概念同士は弱くリンクされており、巨大な概念のネットワークが形成されています。このネットワークが、ヒトが世界について持っている知識であり、世界について認識する際のベースとなっているとされています。色名の連想のしやすさとは、このネットワークの構造に起因するものと私たちは考えています。すなわち、本研究の結果は、AIにもヒトと類似した概念のネットワークが獲得されていることを示唆しています。今後、自然言語処理ができるAIを心理研究のプラットホームとして活用することで、ヒトの認知のしくみの理解が深まるものと期待されます。本研究成果は2022年10月26日にi-Perception誌に掲載されました。詳細はこちらをご覧ください。

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