発行日:2021.01.04

公開日:2021.01.04

AI Japan中核会員からの発信②

機械学習(ML)に関する国際会議:Neural Information Processing Systems (NeurIPS2020) の紹介

カテゴリー:インフォメーション

執筆:国立研究開発法人 理化学研究所

 理化学研究所革新知能統合研究センター(理研AIPセンター)は、機械学習の原理を解明し、革新的なAI技術開発を通して社会課題解決に貢献するとともに、誰もが信頼できるAI社会を実現するための国際研究拠点形成を目指し、2016年度より活動を行っています。現在は、2019年度末に行われた文部科学省による中間評価を経て、立ち上げ・基盤技術開発フェーズから、社会実装に向けたアウトプットフェーズに移行しつつあり、また、COVID-19など社会環境の変化に対応した新しいプロジェクトも立ち上げています。

 今回は、機械学習(ML)に関する旗艦的な国際会議であるNeural Information Processing Systems (NeurIPS2020)が、2020年12月6日~12日にオンライン開催されましたので紹介します。
 今年のNeurIPSは論文投稿数が1万件近くと昨年から約40%増加し、厳正な査読を経て2千件弱の論文が採択されました。採択数トップはGoogle社ほかの米国勢ですが、日本からは約40件の論文が採択されており、その数も年々増加しています。会議は、企業主催のワークショップや「New in ML」、「Black in AI」、「Women in ML」など新人・社会的少数者のワークショップから始まり、チュートリアル、招待講演、口頭発表、ポスター発表、COVID-19シンポジウム、そして、各種トピックに特化したワークショップと、多様なセッション・イベントが行われました。NeurIPSで議論されているトピックは、非常に多岐にわたっています。機械学習の数学的な理論から、深層学習・強化学習などの最先端のアルゴリズム、プライバシーや公平性などの社会的要請への対応、画像処理・自然言語処理のための学習技術、ヘルスケア・ロボットなどへの応用、そして、AIを取り巻く社会環境やデータ流通に関する議論など、機械学習に関する様々なトピックが活発に議論された一週間でした。
 今回、NeurIPSは初のオンライン開催でしたが、事前録画した講演ビデオを公開しつつ質疑応答はリアルタイムで行ったり、仮想空間でポスターセッションを行ったりと、世界各国から集まった2万人以上の参加者が円滑に議論に参加できるよう様々な工夫が施されていました。また、機械学習の裾野を更に広げることを目的としたMeetupとよばれるローカルイベントが、アフリカ・インド・南米など世界各地で開催されています。日本でも、「NeurIPS Meetup Japan」および「Women in Machine Learning」というMeetupが学生を中心に企画され、オンライン開催されました。

 このようにNeurIPSでは、世界各国の大学、研究機関、企業等の研究者が、機械学習分野でのプレゼンスを高めるべく切磋琢磨しており、その勢いはますます加速しています。今回は、日本からオーラル発表やスポットライト発表にこれまで以上の論文が選ばれており、日本の機械学習の研究レベルが着実に向上していることを肌で感じることができました。今後は、研究での活躍に加え、このような旗艦会議で国際的なリーダーシップを発揮できる人材を日本から輩出できるよう、より一層の努力をしていきたいと思います。

2021年1月4日
国立研究開発法人 理化学研究所
革新知能統合研究センター センター長
杉山 将